2023年度JST(日本学術技術振興機構)の大型研究費であるCRESTに採択されました。
CRESTとは、我が国が直面する重要な課題の克服に向けて、独創的で国際的に高い水準の目的基礎研究を推進し、社会・経済の変革をもたらす科学技術イノベーションに大きく寄与する、新たな科学知識に基づく創造的で卓越した革新的技術のシーズ(新技術シーズ)を創出することを目的としています。そのために、研究総括が定めた研究領域運営方針の下、研究総括が選んだ、我が国のトップ研究者が率いる複数のベストチームによる研究を推進するトップダウン型研究であり、国内の競争的科学研究費としてはトップに位置するもので、研究期間は5年6ヵ月以内の総額1.5~5億円程度の研究費が与えられます。
今回応募した領域は、生体マルチセンシングシステムの究明と活用技術の創出(通称マルチセンシング)であり、研究領域統括は、自治医科大学 永井良三学長、研究総括は、理化学研究所 未来戦略室上級研究員の入來篤史博士です。また、国際領域運営アドバイザーにはAnil Seth博士(サセックス大学 工学情報学部 教授)、Karl Friston博士(ロンドン大学 神経科学研究所 教授)と著名な研究者が配属され、国際研究を牽引する意図があります。
私は、明治大学理工学部(認知科学)の嶋田総太郎教授(代表者)、東海大学文学研究科(哲学・現象学)の田中彰吾教授とチームを編成し、「ナラティブ・エンボディメントの機序解明とVR 介入技術への応用」というテーマ(図1:Graphic Abstract)で応募し、毎年採択数は4件程度(2023年度は64件応募中4件採択/採択率6.3%)の厳しい審査の中、書類審査に次いで面接審査を通過し、結果として、2.74億円(5年6ヵ月)の研究費(3研究室合同)を取得することができました。
また、今回は日仏共同提案型による応募をとり、日仏で研究グループを構成し、共同研究提案書(CREST-ANR共通書式)を作成し、フランス国立研究機構(Agence Nationale de la Recherche; ANR)の審査も通過しなければならないという難易度の高い課題に挑戦し、結果として、フランス側も採択されるに至りました(図2:日仏チーム編成)。フランス側の共同研究者には、natureにも多数論文を持つフランス国立衛生医学研究所(INSERM)、フランス国立科学研究センター(CNRS)のYves Rossetti教授(認知科学)、世界ニューロリハビリテーション連盟の組織委員会のメンバーであるリヨン大学病院医学部長のGilles Rode教授(リハビリテーション医学)、そして、神経現象学の父と称されるFrancisco J Varelaの継承者の哲学者であるリヨン高等師範学校(ENS-Lyon)、パリ高等師範学校(ENS-Cachan)のJean-Michel Roy教授です。これから5年半にわたり、相互に往来しながら議論を重ねて、ブレークスルーにつながる研究成果を公表できるように進めていきます。
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