主にリハビリテーション医学・科学、理学療法学、作業療法学、言語聴覚療法学、そして神経科学領域において、運動制御・学習、認知・行動、身体性、社会性などをキーワードに、脳卒中後運動障害や高次脳機能障害、また、慢性疼痛の病態分析、ならびにリハビリテーション療法の開発およびその効果の検証などといった「ニューロリハビリテーション」の研究を行っています。
脳卒中後に感覚・運動障害や高次脳機能障害が出現し、日常生活が不自由になり、社会的制限が余儀なくされる対象者も少なくありません。本グループでは、脳卒中後に生じる姿勢バランス・定位障害、歩行障害、上肢運動障害、道具操作障害、半側空間無視、身体・病態失認、失行の病態メカニズムを分析するとともに、その病態のクラスターやサブタイプ分類を行なっています。そしてタイプ別の最適なリハビリテーション手法の考案・効果検証に焦点化し研究を遂行しています。
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大野 泰輔
所属博士後期課程/西大和リハビリテーション病院
職種作業療法士
研究テーマ失行症の病態メカニズムと作業療法
佐藤 悠樹
所属修士課程/宝塚リハビリテーション病院
職種理学療法士
研究テーマ脳卒中後片麻痺患者の姿勢制御
北郷 龍也
所属修士課程/五反田リハビリテーション病院
職種理学療法士
研究テーマ脳卒中患者のマルチタスク歩行分析
哲学で議論されてきた身体意識や身体性(embodiment)は、「自分の身体が自分のものであるという所有の意識(身体所有感;sense of ownership)と「この自分の運動を実現させているのは自分自身であるという主体の意識(行為主体感;sense of self-agency)」に区別されています。本グループでは、人の身体意識ならびに脳卒中後や運動器疾患でみられる身体性変容のメカニズムについて調べるとともに、身体性変容を改善させるニューロリハビリテーションの開発・検証を行っていまます。加えて、人が主体的に生きるために必要な環境・手続きについて調べています。
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慢性疼痛(chronic pain)は痛覚受容器の興奮というよりも、中枢神経系の可塑的異常によって起こることが周知となっています。とりわけ慢性疼痛の原因は脳の機能不全であることが多くの神経生理学的研究によって明らかにされています。
本グループでは、痛みの慢性化に影響する情動、認知の影響・メカニズムを探求するとともに、慢性疼痛の予防および改善を目的としたニューロリハビリテーションの開発、ならびにその効果検証を行っています。
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ヒトの運動制御を対象に、その障害のサブタイプを明確にし、タイプ別ならびにメカニズム・ベースドなリハビリテーション手法の開発ならびにその効果検証を行っています。とりたてて、姿勢反射システムや姿勢制御システムに関して中心的に研究を遂行しています。また、情動や痛みが上肢運動制御に影響するメカニズムを解析したり、そのモデルを作成しています。一方で、運動学習戦略(教師あり学習、教師なし学習、強化学習)をどのように用いることで、効果が増強するかも明確にしています。さらに、2者間の運動共鳴や身体同調に関連した研究を遂行し、そのメカニズムならびに臨床応用を探求しています。
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山口有紀
所属修士課程/奈良県総合リハビリテーションセンター
職種理学療法士
研究テーマ静止立位での荷重量の左右差がAPAの非対称性に与える影響
川上拓哉
所属修士課程/豊中平成病院
職種理学療法士
研究テーマ方向転換時の姿勢制御
大角 駿介
所属修士課程/八千代病院
職種理学療法士
研究テーマ手把握・操作運動における視覚・体性感覚情報の役割
人間はこの世に誕生し、親を中心とした大人の世話を積極的に受けて成長します。そして、自分自身が大人になれば、今度は子どもや後輩の世話を積極的に行います。教育システムが人間社会に根付いている背景には、人間はお世話好きであると言え、言い換えれば、他者と関係し集団を構成し、それを維持するように行動を起こすことが本能的に仕組まれているように思えます。
本グループでは、社会的行動に関わる共感、心の理論、コミュニケーション、自己・他者意識、利他的行動、道徳、倫理などの広範な領域に関する調査をするとともに、人間関係におけるソーシャルサポートや共有意思決定の意義、ならびにリハビリテーションプロセスにおけるそれらの効果について検証しています。
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