今、なんとなく世界情勢がきな臭い。満遍なく世界が裕福であれば、リベラルな意識は継続するかもしれないものの・・・ 限られた資源に固執すると、それは奪い合いになるのも理解できる。資源こそ、自らの種や民族を継続するために必要だから。
人間に近いボノボとチンパンジー。彼ら同士も遺伝的に近く、見た目も似ている。しかし、彼らの性格は大いに異なる。平和主義なボノボと攻撃性が強いチンパンジー。チンパンジーは、縄張り争い、メスを獲得する争いなどが絶えず、下克上の果てに、ボスを集団で殺してしまうこともある。一方、ボノボの生息地域は、資源がある程度豊富であると同時に、メスの発情期が長く、頻繁にオスとメスが交尾をする。これを理由に争いはほとんどない。争う理由が少なければ、無駄に争う必要はない。そして、チンパンジーはオス優位な社会構造であるが、ボノボにはオス・メスのヒエラルキーはない。
日本において、草食系男子と揶揄されていたのも記憶に新しい。昔の男からは、弱々しくて、出世欲がない、などと。もちろん、私も古い人間なので、そのような意識がたまに立ち上がることもある。けれども、これはある種、オス・メスのヒエラルキーのなさを象徴しているのではないかと思っている。そして、日本は経済的には停滞しているとか、幸福感が先進国に比べて圧倒的に乏しいとか、言われているものの、この草食系男子の出現は、むしろ争わない社会構造を形成しているのではないかと思う。つまり、暗黙的に幸せなんだと思う。日本人は自己主張が乏しく、「わたし、とっても幸せ!」なんてことを公言する文化をあまりもっていないし。だから、欧米の自己効力感と、日本の自己効力感を同じ基準でみるということは、ひょっとすると本末転倒な方向に進んでいくかもしれない。日本人としての美しさを今一度認識し直したい。
草食系男子の終焉によって、社会・世界が不安定な情勢になり、争わざるを得なくなってしまうことによるものだけは、避けたいものである。そして、天皇陛下が研究対象とした水などの資源をどのように維持していくか、奪い合いではなく、それに対する開発競争に対して、オスのホルモンを活かしていければ。そしてメスのホルモンを活かして、分け与えていくような社会へとうまく進めばよいと思っている。私にはそれを舵とる力はないので、応援するのみであるが。
森岡 周
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