オンラインでの授業、オンラインでの会議、そして、最近ではオンラインの飲み会なるものも現れてきました。昔、「オフ会」ってなんだろう?と思った時もあります。学会の時に「オフ会やろう!」と言われたりもしました。断ったりしていましたが(笑)。そんな中、ネット上がオンで、直に会うっていうのがオフだと後から気づいたわけです。
私は行為とか失行(apraxia)の研究とかをやっているので、この両者の言葉にしばしば混乱しています。
行為を考える上で、オンラインとは「今、現在」のことです。例えば、目の前にコーヒカップがあって、それを直接的に情報処理をした上で、手を伸ばし、飲むという行為に変換していく、そのような処理過程を「オンライン情報処理」といいます。
これに対して、オフラインとは、「コーヒカップとは?」を記憶から取り出し、「え〜と、それはコーヒとかを飲む道具で、台所にだいだい置いてあって、日本茶は飲まないもので、、」と、自分の脳内に格納されている記憶から情報を取り出しながら、コーヒカップはどのように操作するのが適切なのか?と意味的に処理する過程を「オフライン情報処理」といいます。
私たち人間は、オンラインとオフラインの両方の処理過程を使って、文脈にあった最適化された行為を選択し、実行します。
オンラインはむしろpersonal spaceおよびperipersonal spaceにおけるface to faceの処理過程にようについつい思ってしまうため、少し混乱したり、違和感を感じたりするわけです。
行為の研究をやめてしまえば、こんな不一致は感じなくなるかもしれませんけど。。
森岡 周
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